映画「さや侍」を視聴。
テレビがないので事前知識なしで見たけれど、なるほどテレビの人が作った映画って感じだ。オープニングの演出が過剰すぎて緊張感を損ねたのはいただけないけど(不死身って設定かと思ったもんなぁ)、コメディの世界だと割り切れば良いってことなのかな。それとも不死身でなくとも、すごく頑丈って設定だったんだろうか?
テーマは誇り。
誇りの対極として、笑いを持ってきたのはセンスだろうね。
逆をやるから浮かび上がるテーマもあると。
見てる最中は、演じてる本人が楽しそうじゃないのに若様が笑うわけないじゃんと思ってたけど、たぶん笑わせなかったのはラストシーンを引き立てるためだったんだろう。
あるいは、笑いを求道と考えているか。
まさにラストシーンのためだけにあった映画。
コメディ寄りだけど、決して笑える映画ではないんだよね。
むしろ泣き映画。
しかしプライドって、もともとひとりよがりなものではあるんだけど、あのラストは自分勝手だと思う人も多かろうて。
特に最後の墓が現代まで残っているってのは、やりすぎな気がする。
後世まで受け継がれるのは何かということなんだろうけど、全肯定できるもんなんだろうかね。一過性の笑いでも、そこにいたみんなが幸せになればいいじゃない。
翻って、誇りなんて持ってても石碑しか残らないよってテーマだったのかな?
いや。だとしたら、ラストの子供たちがはしゃぐシーンの意味がわからんし。
だとすると、やはりテーマを貫いたんだろうね。
エンターテイナーじゃなく、芸術家だわ。
エンターテイメントを期待していた人からは、批判も多かろう。
笑えたのは、意味ありげに出てきた坊主の歌。
出落ちにすぎるけど、あのセンスはシュールで良い。
あとやっぱ、ベテランの俳優はいいね。
セリフがないのに、伝ってくるってのはさすが!